クローズアップインタビュー

インタビュー

40号 長岡勝美税理士

「顧客紹介会社と上手く付き合う方法をそっと教えます」

長岡勝美 公認会計士・税理士

開業1年半で30件獲得の実践税理士がノウハウを大公開!!

「意外なところに落とし穴が…会社選びには慎重さが必要」
 
3大ポイント
・価格競争に巻き込まれるな
・新設法人よりそこそこの規模の会社を選べ
・紹介受けたら最低3回会うのが成功の秘訣

最近、税理士に顧客を紹介するマッチング会社が非常に増えている。インターネットで検索すると多くの顧客紹介会社が出てくるが、なかには税理士を良く知らないネット系企業が税理士紹介サイトを片手間に運営してトラブルを引き起こす場合もある。また、営業のできない税理士と、税理士の良し悪しが分からない利用者の間で、あくどい商売をする例も報告されている。メリットとデメリットを知った上で、利用すべきだろう。そこで、顧客紹介会社のサービスを上手に活用して顧客拡大を図っている例として、長岡勝美公認会計士・税理士に、紹介会社との付き合い方や注意点について聞いてみた。

2014年06月01日

まずは、顧客紹介会社が増えてきた現状をどう捉えていますか。

サービスを利用する税理士側としては、間口が拡がってきたことは歓迎すべき点ですね。その反面、競争が激化し、各社それぞれ特徴も違うことから、どういう企業が自分にマッチするかをしっかりと選別する必要が出てきました。また、税理士を替えたい企業からの案件紹介ならば、顧客になる確率が高い。そういった確定型案件の紹介であっても、企業側が相見積もりを取るケースが増えており、顧問契約となる確率が以前と比べて大幅に低下しています。企業からの要望に合わせて複数の税理士を紹介するシステムの紹介会社が増えてくれば、相性等含めて相見積りは当たり前の話なんですね。となると、紹介されても顧問契約決まらないケースもしばしば出てきます。その状態が進むことで、最近では価格競争が表面化し、自分たちの首を絞めかねない悪い方向性に進むのでないか、という危惧さえ抱いています。

その価格競争に巻き込まれないコツというと?

独立開業したての税理士からすれば、月額顧問料1万円でも顧客にしたいですし、新設法人狙いならば、どうしても価格競争になりやすくなります。でも、その市場をあえて避けて、設立年数が数年で売り上げ規模も例えば1億円~3億円規模の企業をターゲットにすれば、価格も重要なポイントには違いありませんが、それ以上にサービスの質や内容で勝負することが可能です。会計事務所側もそうした徹底した差別化を図らないと、単に価格競争に巻き込まれるだけで、一向に成約に結びつかないという構図が続いていくと予測されます。

特別な方法で差別化を図っているのでしょうか。

いや、税理士批判での指摘内容と反対の事をするだけの、至って単純明快の戦略ですよ。「毎月来てくれない」「情報提供やアドバイスが少ない」「税務調査での対応が不満」といった不満に応えるだけで十分です。顧客の要望をヒヤリングで正確に汲み取り、そのニーズに対応したスタンスをとることによって信頼を積み重ねていく手法で攻めています。

そもそも、顧客紹介会社は社会的に見て有益な存在なのか、という疑問も少なからずあります。

確かに、そういった見方もあります。でも反面、利用企業側からすると税理士を探してくれて、アポイントを設定してくれる。そういった手間が省け、自社に合った税理士と契約できる機会が増えます。また、税理士に関する様々な情報が得られる等のメリットがあります。営業が苦手な会計事務所にとっては、顧客とのマッチング機能を果たす紹介会社からの「見込み客」の案件紹介サービスは、費用対効果を考えて上手く活用すべきです。ただ、事業として税理士紹介を行っていたり、税理士の会員組織が運営する会社が顧客サービスとして実施しているケースもありますが、中にはインターネット上のマッチングだけを行っている会社など、いろいろな紹介会社のパターンがありますので、選択には慎重さも必要です。

紹介会社を利用されて、開業1年半で大幅に顧客を増やされたそうですね。

開業時で20件ほどの顧問先のベースはありましたが、紹介会社の利用で30件増え、トータルで50件を超えています。前職の会計事務所で知り合った紹介会社のほか、間口と効率化を考えて4、5社の紹介会社と付き合っています。もともとこうした紹介会社に対するアレルギーがほとんどなかったことが、顧客開拓をスムーズに行わせた最大の要因ですね。

かなり積極的な営業展開ですね。初期投資とリスクについてはどのようなお考えをお持ちですか。

紹介会社のシステムはいろいろあります。基本的に紹介サービスは無料で実施する会社がほとんどですが、契約が決まれば税理士が紹介会社へ手数料を支払うケースが一般的です。また、営業代行費などを前払いするパターンもあり、この方法は営業リスクを抱えることになりますが、「本当に顧客となる企業を紹介してもらえる」という可能性は高いです。どの方法を選ぶのかについては、柔軟に対応していく必要はあると思います。個人的に顧問先とは、初年度だけで採算を考えるのでなく、少なくとも翌年以降には確実にプラスになること、さらに信頼関係を構築するために少なくとも3年以上の長期的で考える必要があると思っています。そう捉えると、企業規模が問題です。設立して日が浅く、事業規模も小さければ、倒産リスクは高まります。安定を求めるのであれば、事業規模が大きい層を選ぶ必要がある。そうした考えのもとに、うちではある程度以上の企業規模の見込み客を限定して紹介してくれる仕組みを選んでいます。

具体的に面談のコツというものはありますか。

経営者と会う際に求められるのが、ニーズや不満を引き出すヒヤリング能力ですね。一方的に話しまくったり、税金の話しかしない。料金表だけ提示して会話が続かないなど、ある意味、典型的な税理士ほどそういう傾向が強いので、経験してスキルを積む必要があります。一般的な事業会社の営業スタイルとは違い、サービスを売るのが我々資格者。軽く見られてもいけないし、この面の営業トークをどう磨いていくのかがキー。紹介会社が同行するサービスをまずは利用するにも一つの方法かとは思いますが、最低、月に1回、計3回は会うことが成功の秘訣です。

税理士業界内では、紹介会社とのトラブルは増える傾向にあると言われていますが、その点についてはいかがでしょうか。

紹介サービスはあくまで見込み客を紹介するもので、顧客の紹介を確約するものではありません。そこに落とし穴が潜んでいるとも言えます。紹介企業の質に問題があったり、サービスを利用する税理士に“さくらの見込み客”が紹介されたり、紹介案件の“たらい廻し”といったケースもよく耳にします。単純に「先生とは相性が合わなかったから」との理由で断れる場合もあり、リスクは常に付きまとう。そうなると支払った費用が回収できす、それがトラブルのもとになるのです。

最後に、紹介会社へのリクエストがあればお願いします。

紹介サービスを利用した税理士らからの「相見積りを取られて結局は顧客に繋がらない」「顧問料が安く採算が取れない」「新設法人狙いで2年目以降続かない」といった声に集約されるかと思います。もう一度紹介会社の力を借りたいと思わせるような環境づくりを、紹介会社サイドにお願いしたいですね。紹介会社間の競争が激化すれば、価格の安定化や健全化が図れるだけに、利用する税理士には好ましい状況が生まれるでしょう。まだ歴史が浅いサービスだけに時間は必要ですが、ぜひ、そういう方向性に向かって行って欲しいですね。

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