クローズアップインタビュー

インタビュー

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震災被災地支援でAEDを寄贈。
「会計事務所の枠を超えて、社会貢献活動を続けていきたい」

タックス・レスキュー「あなたの税理士法人」
代表税理士 片 雅範氏

東日本大震災から丸2年が経過。さまざまな復興支援の動きがあるなか、税理士業界 の中にも震災当初から社会貢献活動を継続的に続けている税理士がいる。
日本で唯一の「税務交渉人」®である片雅範税理士は、飲料の自販機を設置した企業等に「AED」(自動体外式除細動器)を無償で寄贈するという被災地支援活動プロジェクトを開始させた。
震災サポート第四弾となる今回の試み、活動の原点にあるものは何か。
本音を聞いてみた。

2013年04月01日

まず、今回の支援活動のヒントになったことは。

もともと、消防署で救命講習を受講したり、千葉市防災リーダ-や宮城県防災指導員の資格を持っており、AEDの必要性は十分に理解していました。
最近は公共機関や学校、商業施設、大企業等にAEDの配備が進みつつありますが、絶対数は足りない。
やはり、ネックとなっているのがその価格です。
一台30万円程度かかりますので、一般企業や家庭への導入となると、その費用負担を誰がするのかが課題です。
それを少しでも軽減することができれば、普及に弾みがつく。
そのための手助けをしたいと思ったのが、そもそものきっかけです。
最終的には、一般家庭にほとんど常備されている消火器のように広く普及されるのが理想ですね。

「AED」の寄贈とは新しい発想ですね。

震災からちょうど2年目を機に、被災地を中心に無償で当面100台のAED設置を目標にプロジェクトを立ち上げました。
ネックとなっている費用負担という課題に対しては、自動販売機を設置し、その販売機からの収益の一部をAED設置費用に充当するというスキームなんです。
自販機の新規あるいは代替の要望がある企業や施設にAEDを無料で寄贈することで、費用負担の面もクリアでき、しかも社会貢献と同時に企業イメージも高められます。

震災直後から様々な社会貢献活動を続けられてますね。

被災から約1ヶ月後にボランティア活動を行うために立ち上げた「タックスレスキュー無料ぜいきん相談室」の開設を皮切りに、2011年9月には第二弾として震災地の仙台に「震災復興ぜいきん支援室」を常設して税金面での震災サポートを実施。
そして第三弾となる2013年4月には、被災した税理士や会計スタッフを対象とした「就業支援」を実施。
現在、税金相談は地元税理士会も積極的に支援されておりますので、次に何か支援できないだろうかと考えたのが、今回の第四弾となる「東北AED100プロジェクト~あなたのそばに AEDを!」というわけです。
コンサルタント会社「テンプラス」(代表=保 喜博氏)と飲料機器メーカーの協力を得て、およそ1ヵ月間でプロジェクトを完成させました。

スタートしたばかりのプロジェクトですが、手応えは感じていますか。

はい。十分に感じ取っています。
東北地方以外での設置希望がある場合でも、個々に対応していきたいですね。
また、AEDの使い方講習も実施していく予定です。

今までのボランティア活動とは違った展開のようですが。

これまでの被災地エリアに向けた支援活動は、税理士の本業でもある税務相談が中心で、税理士法人がその受け皿となっていました。
ところが、今回のAED普及活動は、本来は税理士法人が行うべき事業ではないので、株式会社タックス・レスキューとしての事業活動として、明確に区分しています。マスコミでは今回の支援活動を、社会貢献とビジネスを両立させる「ソーシャルビジネス」と位置付けて報道する向きもあり、この点もこれまでの活動にはない要素ですね。
ただ、まったく違う路線というわけではなく、「あなたの税理士法人」が会計事務所の枠を飛び越えて他に先駆けて行う、といった点においては、これまでの復興支援の延長線上にある事に違いありません。

本業の路線での支援についてどうお考えですか。

その点についてもいろいろ考えました。被災直後は、申告期限の延長措置等により、 税務調査は実質、機能していなかった。
ところが2年を経過し、税務調査が再開され、加えて滞納整理という徴収事務が活発化していくという動きが既にみられています。
時間の経過とともに税務当局が動き出せば、税務調査の対応が必ず出てきます。
そういう機会を捉えれば、これまで、「日本で唯一の税務交渉人」として活動してきたことがこの場面で活かせるのではないかと。
税務折衝・交渉といった分野は、まさに、私の中心的なフィールドでもあり、ライフワークとしてさらにパワーアップしてこの本業路線を突き進めて行きたいと考えています。

活動の原動力とはどこにあるのでしょうか。

そうですね。
取り立てて「人の役に立ちたい!」と思い続けていたわけではありませんが、ただ、今振り返ると、高校生時代から献血回数が1番であったり、もともとそういう土台はあったのかもしれません。
中学、高校時代を岩手や青森で過ごし、税理士として数多く東北地方、とくに仙台に出かけ、青森大学客員教授も務めるなど、以前から郷土でもある東北地方には深い結びつきと思い入れがありました。

税理士としてできる震災支援とは何かを考えたらやはり、まずは税金相談だと。
実際、これまで30回近く仙台だけでなく沿岸のほか被災エリアに出向き、税務署や税理士会等では手が届かない税金面での震災サポートを手掛けてきました。
フリーダイヤルで被災者の税金に関する悩みや相談を受け付けましたが、その際に、支援する側の私が、被災地の経営者のみなさんから、逆に励ましのパワーを頂いたりして、それが原動力になっているのかもしれませんね。
震災復興支援で義捐金等を拠出することだけでなく、自分のフィールドで身を持って税金相談に乗る。
それが自分流のボランティア活動だと信じています。

今後、活動の輪をどのように広げていくつもりですか。

復興支援のボランティアは、ひとえに私の思いで始めたことですが、この確定申告期間中に、たまたま申告相談に来ていた納税者の方が、税務署内にAEDがあったために一命を取り留めた、という事例もありました。
命に係わる突発的な事故は本当に身近に起こりうるのです。

今回のAED寄贈活動については、微力ながら、一台でも多くのAED普及に繋がればと願うばかりです。

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