クローズアップインタビュー

インタビュー

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元エリート国税OBらで組織する「税務総合対策室」が目指すものとは・・・

エヌエムシイ税理士法人
代表社員 野本明伯氏

優良企業対象にセカンドオピニオンとしての「税務顧問」狙う

「エヌエムシイ税理士法人」(東京・中野区、代表社員税理士=野本明伯氏)内で組織された、元国税調査官チームで構成する「税務総合対策室」が、業界の内外で話題になっている。きっかけとなったのは、日本経済新聞の朝刊(首都圏版)に掲載されたセミナー案内。
これは、つい最近まで税務当局に在籍していた国税OBのエキスパートらが講師となり、税務調査をはじめ、節税対策、移転価格税制、国際税務など、各ジャンル別の講座を年内まで開催していく。
会計事務所内に国税OBを顧問として受け入れるケースはあるが、こうした“特別チーム”を編成した理由はどんなところにあるのだろうか。

2011年10月01日

業界初の“特別チーム”

エヌエムシイ税理士法人内に組織された、国税OBらによる「税務総合対策室」。
今年5月~7月にかけて、「国税組織の“裏と表”」、「税務調査における質問検査権」、「国際税務」をテーマに開催したセミナーが実質的なお披露目となった。
300人もの受講者が集まったことで、企業の関心の高さを実感。それを更にパワーアップさせたのが、今回のセミナーとなる。
セミナーには、すでに述べ500社近い企業から参加申し込みがあり、受講企業の中からは、「年商250億円規模の企業と顧問契約を結んだ成功事例もある」(野本明伯代表社員税理士)という。

この「税務総合対策室」には元国税局のメンバーらが、比較的規模の大きい企業や資産家を対象に、法人税、所得税、消費税や資産税などに関して、一般の会計事務所では判断あるいは解決が困難な特殊事案について、その道のプロがチームを組んで、対策を講じる特別なサービスが最大のウリ。
それなりの規模の税理士事務所や税理士法人が国税OBを顧問として迎い入れるケースはあるが、エキスパートの国税OBらを集めて “特別チーム”を組織化した例は、業界内では初めてのケースだ。
税務総合対策室のメンバーは現在、客員税理士を合わせて10名。
その中心は40歳代で、国税局の課税部、調査部、査察部、資料調査課、人事、国税不服審判所、税務大学校教授を経験し、高度な実務に精通した、いわばスペシャリスト軍団。「税務の世界は医療の世界と同様に、様々な専門分野が存在するが、お客様に本当の安心感を与えるためには、総合病院的なサービスが必要だ。
そのためには、通常の記帳・税務申告行う組織以外に、直近まで国税当局で活躍していたエリート国税調査官を法人税、消費税、資産税、国際税務など、税務案件ごとに対処できる税務総合対策室の設置が急務だった」(野本氏)と、発足のきっかけを話す。

税務の“グレーゾーン”に着目

さらに、日本の税務行政は、「法律主義」といいつつ実態は「裁量主義」と言われ、税務問題の対応は、法律の解釈ではなく国税当局の裁量によって判断が異なる “グレーゾーン”が広範囲を占めているのが実情だ。
しかしながら、「そのグレーゾーンへの対応が、税務専門家である税理士の腕の見せ所であるにも関わらず、現状は力不足が否めない。
だからこそ、グレーゾーンで有利な判断を行うために、国税当局での経験を持った人材どうしても必要だった」(同氏)と、国税OBを迎い入れたもう一つの理由を力説する。
国税当局の内情を知り尽くし、国税との人脈も兼ね備える。
だからこそ、企業等から税金対策の知恵袋として重宝がられる。
その効果を最大限発揮させるための精鋭部隊が「税務総合対策室」であるわけだ。
人材紹介会社に委託するだけでなく、時には一本釣りも実施して集まった精鋭メンバーは、補助税理士として税務調査の立会や節税対策、税務の事前診断を行う「予備調査」、そして「税務顧問」といった業務領域で、これまでの豊富な実務経験を活かした指導・アドバイスを行う。
当面、「15名規模の陣容を目指していきたい」(野本氏)という。

会計事務所との連携も視野に

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最近、税理士にいわゆる「セカンドオピニオン」を依頼して、リスクを回避する企業も出てきている。
しかしながら、セカンドオピニオンは、ファーストオピニオンよりもさらに専門的で高度な指導やアドバイスが行えなくては意味がない。
その点について野本氏は、「国税当局において、裁量主義のモノサシが分かっている優秀な人物でないと、本物の企業の節税対策は行えない。
それぞれの税務案件ごとに、専門人材の適任者がアドバイスする仕組みがあれば、お客様からの信頼はより高まる。
そこに、われわれの優位性を発揮できるフィールドがある」と語る。
税務総合対策室ではあくまで、セカンドオピニオンとしての「税務顧問」に徹し、相談依頼があっても、その企業の既存の顧問税理士を替えさせるといった、顧客拡大戦略はあえてとらない方針でいる。
「無用なトラブルを防ぎたい」との思惑だが、それに対するほかの税理士らからの反応に意外な一面が見えた。
税理士が自分の顧問先を連れてセミナーに参加させるケースや、自分の専門外の知識を収集するために税理士自身が参加する例もあるという。
例えば、移転価格税制のセミナー参加税理士からは、「例えば、このような難解な仕事を依頼されたら、迷わず専門的な人材を持っている税理士法人を紹介する。
その方が、本当の意味でお客様のためになる」と話す。
実は、この「税務総合対策室」の狙いは企業マーケット以外に、会計事務所との連携も視野にある。
「事務所の独立性と看板を守りつつ、イメージやサービスアップに繋がるビジネスパートナーと業務提携することにより、事務所のブランド力を高めて欲しい」(野本氏)と呼びかける。
すでに、セミナー参加税理士からの紹介で、税務顧問の商談がまとまっているという。
国税OBを組織化した「税務総合対策室」の活動は、企業のみならず会計事務所、そして、国税の現役にとっては「将来の身の振り方も絡んでくる」という見方も出てきており、話題を集めるに違いない。

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