クローズアップインタビュー

インタビュー

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中小企業の資金問題に税理士がどう取り組めばいいのか

一般社団法人 資金調達支援センター
理事長 清水武信氏

「税理士が財務金融アドバイザーとして活躍して欲しい。通信講座は歴史的な第一歩」

中小企業の資金調達を支援する会計人を育てる「財務金融アドバイザー」の通信講座が人気だ。
関東信越税理士会の一般社団「資金調達支援センター」が手掛けるこの講座は、資金調達に関する知識を修得し、金融円滑化の業務を担う目的でスタートしているものだが、開講に至るまでは紆余曲折があったという。
同会の前会長で支援センター清水武信理事長に詳しい話を聞いた。

2011年01月25日

まず、資金調達支援センター設立のきっかけは。

平成18年の会社法改正で会計参与制度が創設され、日税連の会計参与普及推進特別委員会の担当副会長として、会計参与の普及・促進を図っていくことになりました。
中小企業の信用力アップと円滑な資金調達の支援には会計参与は欠かせない存在です。
しかしながら、現実的な活動は研修会が中心で、中小企業の資金調達問題に税理士・会計士がより深く関与するためには、具体的な組織が必要だと考えたわけです。
それが資金調達支援センターを設立しようとしたそもそものきっかけです。

そこで、中小企業の資金調達の円滑化に税理士が貢献できる仕組みをセンターで担おうとしたわけでね。

はい。まずは、金融機関の審査が簡単にできるような仕組みとして、企業と税理士が共同して信用力のある書類を作っていこうと考えました。
そのためには、正しい計算書類の作成、定性分析報告書、事業計画書のいわゆる「三点セット」が確実にできる体制の整備が不可欠です。
当初は、「三点セット」のような金融機関の審査業務の前提となる資料作成に関する業務を税理士に委託して、その業務についての手数料を金融機関から得る、というプロセスを考えていました。
ところが、実際に金融機関が手数料負担をすることは、銀行法からも問題があり、それが事業の大きな壁となりました。
そこで、支援センターでは研修に特化して、財務金融の専門家育成を目指していく軌道修正を行い、その第一歩として、「財務金融アドバイザー」の通信教育講座を開講させました。

意義ある講座内容が特徴的ですね。

通信教育講座は毎月末に申込みを締め切り、翌月10日に開講。
3ヶ月で修了し、受講料は1万5000円。
①中小企業の資金調達支援
②経営計画策定
③中小企業への経営指導・経営助言の各テキストが配布されます。
テキストは中村中先生に監修をお願いしましたが、例えば、1冊目の「中小企業の資金調達支援」のテキストでは、金融機関の職員と同等レベルの知識が習得できます。

予想を上回る人気だそうですね。

おかげさまで、予想以上の反応にびっくりしています。
12月末時点で約500人からの受講申込みがあり、平成23年2月末には第1期の講座修了者が誕生しました。
すでに、第1回の講座受講者にテストを実施。WEB上に選択式の問題が20問出題され、それぞれ「60点」が合格ライン。
1回目で不合格になっても、3回の合格点数がトータルで「180点」以上になれば合格です。
コールセンターも設置し受講者からの質問にも対応しています。
今後、全国展開を考えており、最終的には「1万人受講体制」を目標にしています。

受講する最大のメリットとは何ですか。

金融機関に対して「財務金融の専門家」としての存在をアピールできることが最大のメリットです。
支援センターのホームページで、受講修了者名簿を公開しますので、地元金融機関に対して大いに活用していただきたいですね。
また、「中小企業資金調達支援の専門家養成」と聞いただけでは、これまでその重要度が今ひとつはっきりしませんでしたが、顧客と接する機会が多い会計事務所職員が財務金融アドバイザーとしての資格を有することは、職員にとっても励みになるでしょうし、何より金融問題にアドバイスができる点が事務所の“売り”にもつながると思います。
このほか講座の終了試験の合格者には、税理士会の認定研修のうち、「10時間」の研修受講履歴が得られるのもメリットです。

修了後のアフターフォローについてはいかがですか。

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合格者には継続研修をはじめ、金融動向等の情報提供を考えています。
また、今流行のクラウドコンピューティングを活用して、インターネットが使える環境があれば、いつどこでも経営改善計画書作成に必要な各種ソフトを使える仕組みを供給していくことも考えており、センターから様々なプログラムを提供する予定です。

会計参与の普及・促進に関連して、「財務金融専門家」の育成事業については本来、税理士界が行うべき事業ではないでしょうか。

本来はそうでしょうが、理想と現実のギャップを感じますね。
会計参与の問題も同様ですが、共通するのはどちらも監督官庁が曖昧な点です。
金融円滑化法に絡んだ中小企業の資金調達問題は、金融庁や経済産業省、中小企業庁に関連しますが、われわれ税理士の監督官庁である国税庁には直接的な関連性は薄いと言わざるを得ません。
そのため、税理士会として取り組む事業として非常に難しい側面があるわけです。
ただ、どうしてもこの事業を進めたかった。
そのため、税理士会ではなく、一般社団を設立したわけです。

最後にメッセージをどうぞ。

中小企業の資金問題へのアドバイスは税理士が行うべきです。
今回の財務金融アドバイザー講座の開講は、税理士業界として金融問題に正面から立ち向かう事業のスタートでもあり、大げさな言い方かもしれませんが歴史的な第一歩であると認識しています。
中小企業と密接な関係を保つ税理士が手掛ける経営改善計画等は、関係が希薄化している金融機関担当者よりは確実に質の高いものが作成できます。
税理士会会長任期をまもなく終えますが、今後はこの事業に邁進していきたい。
社会貢献と税理士事務所の業務拡大につながるこの事業について、ぜひ、理解を深めてほしいですね。


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