クローズアップインタビュー

インタビュー

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クローズアップインタビュー
クラウド会計ベースに『スモールDX』
業務効率化ツールで新たな価値感生む


税理士法人福島会計 代表社員 税理士 福島 美由紀 氏 (写真中央)
社員税理士 小島 央生 氏 (写真左)     
廣升健生税理士事務所 税理士 廣升 健生 氏 (写真右)


コロナ禍によって経済的ダメージを受けている中小企業の間では、デジタルトランスフォーメーション(DX)が話題になりつつあり、会計業界でも関心度が徐々に高まっている。そこで、クラウド会計をベースに、「ワンクリックオペレーション」という情報伝達の最適化・デジタル化に取り組み、会計事務所におけるDX活用に成果を上げている税理士法人福島会計(東京・千代田区)の代表社員の福島美由紀税理士と小島央生税理士、パートナーとして指導にあたった廣升健生税理士の3氏で、「会計事務所が取り組むべきDXとは」について語ってもらった。

2021年02月01日

―まず、福島事務所の概要からお話しください。

福島 独立開業10年目の平成24年に税理士法人化し、現在、20名の組織体制となっています。経営計画の策定支援を中心に、「新しい時代を生き抜く経営者のパートナー」という経営理念を明文化してスタッフと共有化しています。平成15年からクラウド会計を導入し、「ITに強く経営コンサルティングができる事務所」を目標に、経営に役立つ財務情報などをスピーディーに提供して、中小企業をサポートしています。

―早くからクラウド化に取り組まれましたね。

福島 はい、単なるITやクラウドツール導入によるデジタル化の支援にとどまらず、中小企業の総合的な経営改善に役立つ支援が目標にあります。業務効率だけでなく、その先の管理会計、すなわち数字を経営に活かすところに、導入の本当の理由があります。

―そもそも、こうした分野への積極的な進出を考えたきっかけとは? 

福島 以前から、会計処理だけでなく、「業務改善提案」や「経理代行ビジネス」など、幅広く企業経営をバックアップしていきたいという想いがありました。しかし、会計処理というベースを活かしながら次のステージに行くにはどうしたらいいのかと考えたとき、ヒントを提供してくれたのが、廣升健生先生の著書「会計事務所クラウド化マニュアル~AI時代のサバイバル戦略~」です。これに深く共感し、「ワンクリックオペレーション」の導入に向けたプロジェクトを、昨年の1月からスタートさせました。新型コロナ緊急事態宣言発動の前でしたが、ちょうどスタッフの意識が変わる時期と重なっていたタイミングもあって、資料の受け渡しなどがワンクリックで可能になれば在宅でも業務効率化が図れると、取り組みはスムーズでした。

―なるほど。廣升先生はどのように対応されたのですか。

廣升 まずは業務効率化の手段としての「ワンクリックオペレーション」を半年間かけて実践・浸透させていきましょうという、プロジェクトのカリキュラムを組みました。それには、情報伝達ルールの統一化という土台づくりから見直さないと、効率化の筋道をつけることができません。例えばこれまでのフォルダの整理法、紙資料の整理法、ファイルの名称ルール、予実管理の方法、業務分担の方法など、当たり前となっていたやり方を、もう一度見直していくことがとても重要です。情報伝達はすべての業務に共通して発生しますが、コミュニケーション方法が統一されていない状況下でリモートワークをしようとしても、無理が生じてしまいます。

―プロジェクトに参加された小島先生はいかがでしたか。

小島 プロジェクトに参加して、開眼しました。実は当初期待していたのは、ワンクリックオペレーションよりもクラウドソーシングなどの導入・運用ノウハウでした。実際に指導を受けてみて、チャットワークとグーグルドライブを使って、すべての情報をオンライン上で完結させるという無駄を排除する仕組みのワンクリックオペレーションを実践し、その中で、より深いところから意識改革が図れたのが最大の収穫ですね。そこに到達すれば「おのずと見える景色が変わる」という廣升先生の考え方がより理解できました。


福島 もともと所内の情報共有化という点については、デジタルツールを活用しており支障はなかったものの、誰でも、いつでも、どこでも、そのデータを見えるようにするためには、汎用性のあるツールに変えていく必要があります。業務をテレワークで分業するなら、仕事を上手くふることができなくてはならない。そうした業務フローの改善に、ワンクリックオペレーションはとても役立っています。


小島 うちの事務所は、決して全体のITスキルが高いわけではなく、20人中5人くらいがある程度わかっているレベルです。しかし、労働集約型の事務所から脱皮し、クラウド会計ソフトを使って生まれた時間で付加価値を生む業務へシフトしていかないと今後は生き残れない。そういう危機感を与えることで、所内の意識もおのずと変わり、苦痛を伴って習慣を変えていくといったストイックなことになることもほぼなく、今のところいい方向に向かっています。

―まさに正のサイクルが生まれてきているようですね。廣升先生から見ると福島会計は指導しやすかったですか?

廣升 大原簿記学校での講義に例えると、福島会計は実力があるにも関わらず、応用問題を増やし過ぎて税理士試験に合格していない受験生のようでした。情報伝達の土台がしっかりしてない状況に、いろいろなツールを使った個別業務の処理などが積みあがっているので、連携が上手く取れていない典型的なパターンで、実にもったいないと思いました。情報伝達の正確性は必要ですが、料理に例えると、料理の腕がそこそこでも、新鮮な素材さえあれば旨い料理は作れる。自分がサポートできる本質はまさにそこの部分で、ワンクリックオペレーションによるクラウドソーシングや会計処理の分業体制ができれば、資料収集および整理・確認などの効率化につながるという各論を見せつつ、何のための仕組みづくりなのかといった本質論をしっかりご理解いただけたかと思っています。
福島会計の場合、危機感を持つスタッフに共通するマインドが備わっていた点は大きく、価値観として共有されたカルチャーがある事務所であるが故に指導にも熱が入りました。


福島 プロジェクトのカリキュラムを途中でアレンジしていただき、事務所に合う流れに構築し直して頂いたことはとても有難かったですね。

―そうした業務効率化に役立つ幅広いIT化支援をベースに、今度はDX化支援を打ち出されましたね。

福島 はい。顧問先には身近なデジタル化から取り組んで欲しいという想いから、企業の内情を誰より正確に知っている会計事務所こそデジタル化、つまり生産性向上の提案ができる立場にあると考えたからです。


小島 DXへの本質的な支援領域は範囲が広く、なかでも会計事務所の方向性はITベンターとは本質的に異なります。会計事務所の場合は、会計周りからお客様が経営にフォーカスできる環境支援から取り組むべきで、最終目標は、会計を中心とした企業のバックオフィス業務全般のDX化支援にあります。

―なるほど。ところで廣升先生と一緒に開催したオンラインセミナーで講師を務められたのが小島先生ですが、タイトルを「スモールDX」とした理由などについて教えてください。

小島 今や経営相談はITと切り離して考えられなくなりました。あえて「スモールDX」という名称にしたのは、デジタル化提案の入り口となるIT化支援という意味で、各種クラウドツール活用の成功事例を中心に講演しました。経理・会計をコアに労務管理、販売管理、電子決済、各種電子手続きなどの領域は会計事務所が指導できる分野です。  
このような業務をスピーディーに効率良く処理できる土台を構築できれば、鮮度の高いデジタルデータが提供できます。それによって、素早い経営判断の意思決定ができますから、手段としてのDXを上手く活用した経営支援を展開していきたいですね。


福島 それを今風に格好よく表現すれば、“経営支援型のDX会計事務所”。具体的には、監査や経営、DX支援の各担当者がチームを組み、経営改善を見据えた最適なソリューションを提供しています。

―既に実践例はありますか?

小島 経営支援型のスモールDXの実績事例として、例えば経理も労務も知識が全くない飲食店のケースでは、クラウド会計は全く不慣れであったことから、「Googleスプレッドシート」という表計算ソフトを給与計算に活用したり、クラウド型POSの導入で売上分析のアドバイスを行った結果、売上と利益の適正な把握、いわゆるどんぶり勘定から脱却することができました。
また、商品分析が可能になることで課題が明確化し、コロナ禍において苦しんでいる飲食業が多い中、黒字化が見込めるようになりました。
さらに、広告代理店の場合、資料のデジタル化やクラウド会計のメリットが活かせるような設定の見直し、資金繰り表の作成などにより、事業別採算がタイムリーに把握できるようになり、新規事業の撤退というタイムリーな意思決定に役立ち、結果、黒字決算を迎えられました。結局のところ、事務所がトライした成功例や失敗例などの実体験があってこそ、お客様に説得力が生まれるのではないでしょうか。


廣升 極論かもしれませんが、“DXを進めるも停滞させるのも会計事務所”、ということに尽きるのでは。多くの会計事務所は、紙情報の伝達という業務フローでまわっている点が最大のネックで、そこにDXが進まない根本的な問題があります。大上段に構えたDX支援などは会計事務所には一切必要はありません。例えばテレワークの導入に最適なオンライン会議ツールやその使い勝手を知りたい、名刺管理を紙ベースからデータベースに移行したい、電子印鑑導入のためのアドバイスが欲しい、などといった顧問先企業の課題に対して、会計事務所としての知見が最も参考になるはずで、実体験に勝るものはありません。


福島 事務所でのIT投資というと、サーバーやパソコン、各種クラウド利用料や保守など、コストは一般的な中小企業と変わりません。ITインフラ整備は業務環境を整え売上げを上げるための投資でもあります。ペーパーレスに関しても、これまでの4年間で減ったのは手間と時間。逆に生み出したものはクラウド会計をベースにした新しい価値観です。10人~100人規模の事務所でも使える業務効率化ツールおよびDX化の仕組みづくりをさらに進めて、そのノウハウを活用したい会計事務所に提供していくことで、業界の生産性向上に少しでも貢献できたらと思っています。今年中にご提供できるように準備を進めているところです。

―ありがとうございました。

※なお、このインタビュー動画はyoutubeの廣升健生チャンネルにて公開中です。

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