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クローズアップインタビュー


国内で初めて、クラウドを使った法人税申告システムがリリースされた。仕掛人は、業界の風雲児と呼ばれる、(株)フリーウェイジャパン代表取締役の井上達也氏だ。「クラウドとは何なのか、そして、なぜ無料で提供されるのか」など、緊急インタビューした。

今回の法人税申告ソフト「フリーウェイ税務」。かなり衝撃的ですね。

ありがとうございます。SaaSの税務、無料で提供、と2つの国内初を実現できたことが大きかったと思います。クラウド、SaaS、ASPといった言葉を最近はよく耳にしますが、大まかにご説明すると、クラウドというのは、インターネットを利用してユーザーがソフトを使えるサービスのことです。クラウドの細かい分類には、明確な定義はありません。SaaSやASPも、ユーザーの皆さんにとっては同じようなものです。

これまでのソフトとはどういった違いがあるのでしょうか。

通常のソフトは、パソコンにインストールして使います。クラウドは、その必要がありません。インターネットに接続さえしていれば、世界中どこでも利用できます。

会計ソフトのメーカーである御社が、会計ではなく、クラウドの税務システムを作ったのはなぜでしょうか。

クラウドの技術が生きるのは、むしろ税務システムの方なんです。フリーウェイ税務の導入が進めば、電子申告が一気に普及します。最近では顧問先の流動化が激しくなっており、これが電子申告の普及の壁になっています。以前であれば、あまり考えられなかったことですね。弥生会計や会計王であれば低価格ですから、事務所で揃えることもできるでしょう。しかし、顧問料の競争激化などの厳しい現実に直面している事務所は、コストをなるべく抑えなければなりません。また、専用機メーカーに自計化された顧問先となると、お手上げです。この現象が、電子申告の妨げとなっています。

顧問先の出入りと電子申告に関係があったとは。

以前の申告方法よりも、面倒な作業が多くなるんです。たとえば、顧問先が勘定奉行、会計事務所がJDLを利用しているとします。電子申告を使わない方法であれば、顧問先の勘定奉行で決算書を印刷して事務所に持ち帰ります。そして、事務所に戻ってからJDLで申告書を作って印刷。この2つを併せて税務署に提出すれば問題ありませんでした。これが、電子申告するとなると、決算書のデータと申告書のデータを一箇所にまとめなければなりません。この場合であれば、顧問先で決算書を印刷して、JDLでデータを再入力します。これでは、あまりに非効率です。

御社の「経理データステーション」では解決しきれないんですね。

確かに、作業の効率化を図れるのは事実です。経理データステーションを使えば、勘定奉行のデータをJDL用のデータに変換できます。顧問先が、そのデータを会計事務所に送ってさえくれれば、あとはJDLにデータを取り込むだけです。ただ、これはベターな解決策に過ぎません。経理データステーションは、普段の顧問先とのやりとりのみに使っていただきたい。そもそも、申告の時期、会計事務所は大忙しですから、楽になるとは言え、ソフト間でデータを変換する作業なんて、ナンセンスとしか思えません。この問題を、私はどうにかしたかったわけで、そこで、クラウドを使った税務システムの開発に着想を得ました。クラウド上では、データ変換する必要がなくなりますから、それだけ会計事務所の仕事が効率化できます。

クラウドであればデータ形式の違いを考えずにすむということですか。

先ほどの例でお話しますが、先生はまず、顧問先で決算書データをクラウド、つまりフリーウェイ税務に保管します。そして事務所に戻り、決算書のデータが保存されているフリーウェイ税務で申告書を作るだけです。以前の申告方法と同じような感覚で電子申告でき、手間もかかりません。これで、電子申告は急速に普及するはずです。

システムの使い勝手はいかがでしょうか。

画面に表示される申告書にデータを入力という点でも、他のソフトウエアと変わりません。インターネットへの接続が必須となる点だけが異なります。また、現在、各メーカーの会計ソフトのデータをインポートできように、各メーカーと水面下で交渉中です。弊社には、経理データステーションで培った経験がありますので、交渉が進めば、すぐ開発に取り掛かりたいと考えています。会計のクラウドで先行しているメーカーさんとも連係を図っていく予定です。

ところで、電子申告以外に事務所がクラウドを利用するメリットはありますか。

専用機を使われている会計事務所であれば、ハードウエアにかける費用が大幅に削減できます。クラウドであれば、事務所にサーバを置く必要がなくなりますからね。金額にすると、何百万円という単位です。

御社が負担するサーバ代が膨大になるのでは。

クラウドのシステムをご提供する以上、やむをえません。ソフトウエアの動作スピードを1秒でも上げることで、なるべくコストを増やさない努力をしています。もちろん、ユーザーの利便性も考えてのことです。『たったの1秒』と思われるでしょうが、これも、パソコンにインストールするソフトウエアとの大きな違いです。通常のソフトウエアであれば、1秒の差は気になりません。しかし、クラウドでは、インターネットに繋がっているユーザーが同時に利用します。ユーザー100人が同時に接続して、1秒ずつ動作が遅れたとしたら、どうなるでしょう。

データを入力するたびに、2分近く待たされることになりますね。

そんなシステムでは、誰も利用してくれません。クラウドのシステムを開発する上で、最も難しいところです。動作が速いに越したことはありませんが、その分だけ開発コストがかさみます。作り方が根本的に違う分、テストも大変です。

ここまでのお話だと、「フリーウェイ税務」が無料で提供されるのが不思議でなりません。

私は、大学卒業後JDLに入社し、退社してすぐに弊社を設立しました。四半世紀以上、この業界でお世話になっています。今の私を育ててくれたのは、他でもない税理士の先生方です。そして、弊社は来年の三月で、創立20周年を迎えます。この節目に、この業界に恩返しをしたかったんです。何とか、税理士業界の発展に貢献したかった。

経営への悪影響の心配はないのでしょうか。

フリーウェイ税務には、有料版もあります。無料版のコストの一部は、その収益から回収できる見込みです。ただ、大部分は、無料版の操作画面上に掲載する広告で負担することになるでしょう。もちろん、自社製品の拡販に利用するつもりはありません。

どういった方がその広告枠を使うと想定していますか。

実を言うと、税理士の先生方にこそ、フリーウェイ税務を使って広告宣伝して欲しいんです。日本の企業の約半分には、顧問税理士がいません。設立して間もないかまたはコスト面で、まだ税理士に仕事を頼む段階にない企業もいます。ただ、設立して数年経ち、そろそろ顧問税理士を探そうという会社もいます。そういった企業を顧問先として開拓できる場としても、フリーウェイ税務を先生方に利用していただきたいですね。

最後に、今後の展望を聞かせてください。

無料で使える法人税申告システム「フリーウェイ税務」に、新たなラインナップを加えていきます。勘定科目内訳明細書、事業概況説明書、消費税のいずれかになりますが、2011年末にリリースする予定です。ご期待ください。

(インタビュー 株式会社ゼイカイ 高橋篤夫)

株式会社フリーウェイジャパン
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