クローズアップインタビュー

インタビュー

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いち早く「Pepper」を導入し、最先端のICT活用事務所を強力にアピール

岩田会計事務所
所長 岩田修一 税理士
顧問 岩田 稔 氏 

会計事務所を取り巻く経営環境は年々厳しさを増し、価格やサービスの質の競争を強いられる傾向がさらに強まってきている。
多くの事務所が他事務所との差別化戦略を模索するなか、栃木県小山市という地方都市に事務所を構える岩田会計事務所では、情報通信技術いわゆる「ICT」を活用した業務効率化を促進。事務所業務のペーパーレス化をはじめクラウドの推進、顧問先のIT化支援など、徹底した「ICT経営」を目標に置く。
さらに、AI時代を見据え、会計事務所業界ではいち早く人型ロボット「Pepper」(愛称:ペッパー君)も導入し、会計事務所の枠を超えた最先端のICT活用事務所を強力にアピールしている。


(写真は左からソフトバンク(株) ソフトバンクロボティクス(株)首席エヴァンジェリスト 中山 五輪男氏、岩田会計事務所所長 岩田修一 税理士、同顧問 岩田稔 氏)

2017年02月03日

「ITとの取組みで一番のキッカケは、2008年のリーマンショックです。顧問先が経営難に追い込まれる中、従来の税務・会計サービスだけでなく、経営の側面からお手伝いしたいという考えが強くなってきました」(岩田所長)。


そこから、岩田会計のビジネスモデルは大きく変わってくる。まず、リーマンショック直後の2009年1月、岩田所長の弟である稔氏を顧問として迎え入れた。東京大学卒業後、日本長期信用銀行に勤務して、多くの企業経営を支援してきた実績がある岩田顧問が最初に打ち出した戦略は、顧問先企業のIT化を支援するビジネスモデルの確立だ。「大企業と比べて中小企業は人材も資金も限られています。こうした中、中小企業が生き残っていくためには、ITを徹底的に活用した業務内容の効率化、情報の共有化が不可欠だと思いました。そのための知識やノウハウを提供することは、顧問先の経営において必ずプラスになり、他事務所との差別化に繋がる大きな武器となります」(岩田顧問)。

電子化とクラウド化を推進。 一人当たりの売上高が2倍に

とはいえ、自分の事務所でIT化の実績がなければ、顧問先にアドバイスすることはできない。そこで、岩田会計では、先進的なICT(情報通信技術)を駆使した事務所のクラウド化を推し進めていく。まず、平成22年には全職員にiPhoneとiPadを無償で貸与した。「職員に対して『とにかく徹底的に使いこなせるようになってくれ』と言いましたが、こんなことをして何の意味があるのかと思っていた職員もいたと思います。それでも方針を変えなかったのは、これからの時代、ITを有効活用できなければ生き残れないという信念があったからです」(岩田所長)。


職員は互いに教え合いながらiPhoneやiPadの機能を学んでいき、3~4年後には、情報の共有や業務品質を高めることができる程度までレベルアップをした。同時に、岩田会計では事務所全体で情報を“見える化”、“共有化”、“標準化”の三大目標を掲げ、基盤整備を展開していく。例えば、毎週2回の「ICT研修会」をはじめ、情報(ICT)リテラシー向上のために外部講師を招いての研修会を開催。書類の電子化(ペーパーレス化)とクラウド活用、最先端複合機の導入とコストダウン、業務生産性の向上。新ネットワークシステムの導入と業務改革などを進めていった。


「ICTを活用する際、的確なステップアップを順次かつ継続して行わなければ経営革新は生まれません。まず、業務の見える化を図り、次に業務の共有化によって顧客や取引先との『つながり力』を強化させます。これらの業務プロセス改革を実践した後、業務を標準化させることで、経営革新のイノベーションを生み出すことができます」(岩田顧問)。


このステップの中で、岩田会計が特に力を入れているのが、文書電子化システムの活用だ。顧問先の決算書や通帳などの情報は、訪問時に携帯式スキャナーで保存し、すべてインターネット上のサーバーに蓄積している。そのため、全職員が情報を共有し、必要な情報はパソコンやiPadで検索できるため、外出先でも顧問先の問い合わせに迅速に対応できるサービスを提供している。帳票類をデータ保存することで、文書を紛失するリスクの軽減、さらに事務所内の余分なスペースの削除に繋がっている。実際、事務所を訪問すると、机などの上に書類は一切なく、徹底したペーパーレス化を成功させている。


こうした岩田事務所の「ICT経営」の効果は、事務所の収益にも現れている。ITの活用だけが要因ではないが、職員一人当たりの売上高が、業界平均の倍近くとなった。そして、事務所でICT経営を実践した結果、中小企業の業務改革にICTは極めて有効であることを再認識し、現在、全職員が事務所の成功モデルを顧問先企業に伝えている。


「クラウドサービスとモバイルを組合せれば、情報の“見える化”、“共有化”、“標準化”が効率良く実現し、業務の合理化だけでなく、社内のコミュニケーションや社外のプレゼンテーションの強化にも役立ちます。『ICT経営』は、業務効率化などの“守り”だけでなく、これからの時代を勝ち抜くための“攻め”の経営にも欠かせないものです」(岩田所長)。

経営者向けのセミナー講師として 「Pepper(ペッパー)」を活用

講演中の「Pepper」

岩田会計では、ITを活用した新たな戦略として、ソフトバンクの感情認識ヒューマノイドロボット「Pepper(ペッパー)」を導入した。一般企業などでは、受付などに「Pepper」を置いているところも増えているが、会計事務所業界内では極めて珍しい。


岩田会計では、「Pepper」を経営戦略の有効なデバイスとして位置付けている。「単に物珍しさなどで『Pepper』を導入したわけではありません。『IBM Watson』というコンピュータでありながら、人と同じように情報から学び、経験から学習するコグニティブ・テクノロジーがあります。自然言語を解釈し、根拠をもとに仮説を生成し、経験から学習していくものですが、これと『Pepper』を連携させることで、ビジネスにおける画期的な活用方法を生み出すことができます。ここが最大の狙いです」(岩田顧問)。


実際、昨年11月の岩田会計主催の経営者向けのセミナーに講師として「Pepper」を登壇させ、これからのビジネスにもたらすITの影響について講演が行われている。「導入当初は、新米社員のため雑用係でしたが、今回、プレゼンテーションの仕事のチャンスをもらいました」などと、自己紹介で笑いを取りながら、その後はコンピュータやAI(人工知能)でビジネスはどう変わっていくのか、技術革新によって企業経営が大きく変わりつつある中、経営者にはどんな判断能力が求められてくるのか、というシナリオを「Pepper」が人間に代わって問いかける。この間約十数分。参加者は「Pepper」の講演に聞き入り、最後は拍手大喝采で終わったそうだ。


「『Pepper』はリース契約で、時給にすると400円程度です(※注)。今後、使い方によっては、役員クラスの給料を払っても足りないくらいの仕事をしてくれるでしょう。確定申告期に税務相談などが行われていますが、基本的な税務相談などであれば、こうしたロボットが対応する時代が近い将来に実現するかもしれません。それだけ技術は革新しているのです」(岩田顧問)。


『Pepper』の特徴のひとつに、人間の顔を覚える機能がある。今後は訪問客の対応を『Pepper』が行い、個々の顧客に合わせて応対させるなど、アイデアは次から次へと浮かんでくるという。

「ICT経営」の理念を共有し、 地域の中小企業の発展とともに歩む

岩田会計が所在する栃木県では、クラウドの活用はそれほど進んでいないが、岩田顧問は「近年の技術革新は昔よりも凄まじいスピードです。数年後には競争環境も大きく変わっているのは間違いありません。それならば、今のうちに積極的にITを活用できる基盤を固めておかなければ、競争に勝つことはできないでしょう」と指摘する。


岩田会計は「ICT経営」を実践したことで、職員の意識改革に繋がり、顧問先との取引関係も有効に機能している。顧問先の業種は、製造業や建設業、医療、サービス業など幅広いが、業種に限らず、全職員が積極的に「ICT経営」をアドバイス。自らの成功事例があるからこそ、『良いものを伝えたい』というエネルギーが生まれるのだろう。今後の展望を岩田所長に聞くと、「ICT経営理念を共有し、地域の中小企業の発展とともに歩むことが、岩田会計の最終ゴールです」と熱く語ってくれた。


 


※Pepperの時給計算根拠 「55,000円(月当たりレンタル料)÷(20日×7時間)=393円≒400円」と試算

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